「手伝って欲しいことがあるから朝出勤前に寄ってくれないか」
と、イタリア人同僚のヤコッポ/ Jacopoから声をかけられ、彼の家に向かう。
クック諸島に来てもうすぐ3年。
自分でも「アイランドボーイ」と自分のことを語る、既にまさに島の青年。
”昨夕、庭の芝刈りと、ココナッツの葉の掃除をしたんだ”
と、きれいに刈り取られた庭を歩きながら話す。
地元の若者は大概嫌がる芝刈りを、
いかにも楽しみながらこなしている様子が伝わってくる彼。クック諸島が好きなんがなあ。
「おいしそうなココナッツの実がたくさん採れて、
とても飲みきることができないから、オフィスのみんなにお裾分けしようと思って。
一人一個、飲みながら今日は仕事さ。
殻を剥がしておいたから、車に積んで持って行ってくれない」
「もちろんいいよ」
ということで、今朝の私の車の乗客は20個のココナッツの実。
ずっしりと重い。
こんなにも多くのココナッツを一度に持ったこと初めてだったので、この重さは新鮮。
隣にも、大きなかごにココナッツが山盛り。
これは友人にココナッツクリームを作るためにお裾分けするようだ。
庭に5、6本高々と空に向かい、伸びているココナッツの木。
昨日こんなにも収穫したというのに、まだまだ鈴なりに実っていて、今にも重すぎて落ちてきそうだ。
「本当にココナッツってミラクルだよね。
ほっておいても一年中実り続けるし、こんなに美味しいし、栄養満点。
しかも無料のジュースが毎日落ちてくるなんて!」
と言いながら、鉈でぱっぱっと自分の毎朝の習慣、
”毎朝起きたらココナッツ一個一気飲み”を披露してくれ、満面の笑顔。
南国ならではの贅沢な朝のひと時。
彼の庭を見ていると、ココナッツの恵みを日々もらいながら島の生活を送っていることがよく分かる。
木から落ちてきた実は、テラスにきれいに並べる。
ジュースを飲むために、剥いた殻はきれいに並べて、生垣に。
ハーブ菜園のまわりの縁取りもココナッツの外皮で見た目も、自然にもエコロジカル。
おそらくクック諸島に来るまで見たこともなかった、ココナッツの皮をむく道具が側にある生活が
彼の生活にはもうすっかり板についている。
そんなこんなで、
山盛りのココナッツを助手席に乗せ、会社に出勤。
早速、
「さきこが全部昨晩皮を剥いたんだよ!」
なんて、弟みたいに可愛いヤコッポがジョークを言いながら、みんなに一つずつ配ってまわりました。
たった一つのココナッツ、とは思うけれど、
実は中身の栄養満点ジュースはどっさり500ml - 1Lぐらい入っているので、
一気に飲み干す、というわけではない。
半日十分に味わいながら、
そして、南国らしくココナッツとともに仕事ができるスペシャル感を感じながら仕事をすることができました。