自ら望みクック諸島に立ち往生 コロナ禍のハッピー観光客


ラロトンガ島の住人の中で、Strandedという新しいカテゴリーができた。


地元人はローカル。

私たちのような外国人労働者。

通常時はたくさんいるツーリストは、国境が閉じているためいない。

しかし、Stranded Touristsがいる。

Strandとは、船が座礁したり、人が立ち往生していることを言う。

要するに、コロナ禍の状況で、ラロトンガ島に立ち往生しているツーリストたちのことだ。

年末にこのストランデッドたちの集まりに参加してきた。


「僕たちは、世界中で最も幸せな場所で立ち往生することができて恵まれているよ。」


「今、世界中でクック諸島が一番安全で、かつて幸せで恵まれて、

普通に暮らすことができていると思うよ。」


「私たちは、このタイミングでクック諸島にいることができて本当にラッキーだわ。」


We are OK to be stranded

Cook Islands 2020

”私たちは立ち往生していて嬉しいわ。思い出の2020年クック諸島”

と書かれた揃いのTシャツを作り、世界中の国々のコロナのニュースを見ながら

国の家族知人には、「楽園に留まっているから安心してね」と伝え、

異国の地で一致団結し、楽しく過ごしている雰囲気が伝わってくる。


ブラジル、アルゼンチン、カナダ、マレーシア、スイス、スェーデンなどなど。

南太平洋にポツンと浮かぶ島とは思えないほど、とってもインターナショナルだ。

事情はそれぞれ異なるけれど、皆3月中旬からクック諸島に住み10ヶ月。

もちろん島のことはもう知り尽くし、ラロトンガ島の住人の輪に溶け込んでいる。


人生というのは、本当にいつ何が起こるか分からないものだ。


「私はニュージーランドで娘家族と一緒に、孫の面倒をみて暮らしていたの」

年配のブラジル人ママが話してくれた。


「6ヶ月ごとにビザの更新のために一度出国する必要があったの。

娘に言われるままに、航空券を受け取り聞いたこともないクック諸島にとりあえず2泊して、

そのままニュージーランドに戻ってくる予定だったわ。

2泊の予定が10ヶ月になってしまったわ」


ラロトンガ島に到着しホテルのビーチで泳いでた。

数時間後に、娘から電話がありNZが国境をクローズするからとりあえずラロトンガ空港に向かって、なんでもいいから飛行機に乗って、と言われた。

ラロトンガ空港は真っ暗で誰もいなかったわ。

もう頭がパニックで、異国でどうしたらいいか、何をしたらいいかも分からずに困っていた。

けれども世界中方集まったストランデッドたちと知り合い、助け合うようになって、暮らしが楽しくなった。

孫に会えないのは寂しいけれど、今はラロトンガの静かな暮らしを満喫しているわ。



「私は仕事を1年間休み、人生の休暇、世界一周旅行中だったのよ」

中年のスェーデン人女性、日焼けをしてすっかり島の住人の容姿。


タヒチからクック諸島に来て、しばらく動物保護センターでボランティアをしていたら

国境がクローズし、立ち往生する運命になったのよ。

本当は1年間で15カ国ぐらい巡る予定だったわ。

クック諸島の後は、ニュージーランド、そして日本に飛び、アジアをめぐる予定だったわ。

その予定は全て消えて、10ヶ月ハッピーinパラダイスよ。

「僕も世界旅行中に、たまたまアイツタキ島にいるときに国境封鎖となったのさ。」

リタイアしたマレーシア人男性。


オーストラリア旅行中に、航空券を見ていて、偶然ラロトンガ行きのお得な航空券を見つけた。

クック諸島って聞いたことなかったけれど、綺麗な海の画像を見てぜひとも行きたくなって、しばし予定変更。

夢のようなアイツタキ島のビーチで、読書をしたりのんびりと過ごしていたら、

国境がクローズするからとりあえずラロトンガ島に戻るように宿の人に言われ、

予定を早め、数便待ってやっとのことラロトンガ島に到着したら、すでにオークランド行きの最終便は飛び立っていた。

マレーシアのコロナウィルスの状況はとても深刻だし、

僕はクック諸島のこののんびり暮らしが気に入っているから帰ることは全く考えていないよ。



「私は当時滞在していたオーストラリアから近場で

2週間ぐらいのバケーションに行けるとことを彼氏と探していたの。

たまたまラロトンガがヒットして、聞いたことがなかったけれど、アクセスが楽だし、

綺麗な海でゆっくりできると思って、思い立って急にクック諸島ホリデイを計画したの」

スイス人の彼女。20代。


当初は、一緒のフライトでラロトンガにくる予定だったのだけれど、

彼のアパートの契約更新の書類に不備があり、数日出発を遅らす必要があったの。

だから私だけまず一人でラロトンガ島に来て、バケーションを楽しんでいたの。

数日後、彼氏がオーストラリアを出発する日までにクック諸島の国境がクローズしていたから来る事が出来ず、10ヶ月間私たちは離れ離れになってしまったわ。

今度いつ会えるのか全く未定。

でも、今この悲惨な時期に美しいラロトンガ島で過ごす事が出来ていることに感謝の気持ちでいっぱいだわ。


人生いろいろ。

本当におもしろい。



思い起こせば、2020年4月19日、

3月末からラロトンガ島に足止めとなっている観光客たちをドイツ政府がチャーター機を飛ばして救出した。

主にドイツ人、加えてヨーロッパ諸国、

そして一人、唯一立ち往生していた日本人観光客をも含めた72人が特別機でラロトンガ島を飛び立った。

上記の写真は、搭乗手続きを終え、楽園からの出国前の記念撮影。

クック諸島を去り、コロナウィルスの世界に帰る複雑な気持ちと、やっと家に帰る事ができるという安堵感が

複雑に混ざった空気に包まれていた。多くのローカルの友達もお別れに集まっていた。


3月末からのロックダウン中のニュージーランドから約1万人のドイツ人がチャーター機で帰国したという。

11月末には、フランス政府がパペーテからチャーター機を飛ばし、

3月からクック諸島に足止めとなり帰国ができなかったフランス人3名を救出した。


この飛行機に乗れなかった人々、そして乗ることを選ばなかった人々が

私が年末に出会ったストランデッドたちだ。


人生本当にいつどのタイミングで何が起こるか分からない。

だからおもしろい。


私の出会ったストランデッドたちは、

皆一つの家族のように、楽しみ助け合いながらラロトンガでの暮らしを楽しんでいた。


悩みがないわけではない。

遠い異国で、予定外の立ち往生。

でも、私が会った人は皆輝く目を持ち、笑顔だった。。


「今、クック諸島が世界で一番幸せな国さ。僕たちはすごく運が良く、恵まれているよ。」


2021年、良い年となることを願います。