8月6日。
私日本人にとっては忘れることのできない広島への原子爆弾が投下された日。
世界の非核化を願い、世界平和を祈る日。
1945年8月6日、午前8時15分。
そのちょうど40年後、
1985年8月6日に、南太平洋諸国は地域の非核化を決意し「南太平洋非核地地帯条約」を定めました。
クック諸島の中心、ラロトンガ島にて調印されたため通称「ラロトンガ条約」と呼ばれます。
8月6日の今日、
遠いクック諸島から世界平和を願い、南太平洋諸国の人々の非核化の決意を「ラロトンガ条約」に関連付けてお知らせします。
南太平洋地域では、
1966年よりフランスによる核実験が度々行われ、各国にて核実験反対の気運が高まりつつありました。
「ムルロア環礁の核実験」などの反対運動報道は私も小学生の時に耳にしたことを覚えています。
1975年に、国連総会にて、南太平洋を非核地帯とすることを支持する決議が採択されました。
それを踏まえ、南太平洋地域の非核地帯構想を具体化する必要性を感じ、
1985年8月6日、旧南太平洋フォーラム (SPF) 加盟国8カ国によって画期的な条約が調印されました。
最初に条約が調印されたラロトンガ島の地名から、通称:ラロトンガ条約(Treaty of Rarotonga)と呼ばれますが
正式には、「南太平洋非核地帯条約(みなみたいへいようひかくちたいじょうやく、英:South Pacific Nuclear Free Zone Treaty)」。
【ラロトンガ条約の主な内容】
締約国による核爆発(平和目的の核爆発を含む)装置の製造・取得・所有・管理、自国領域内における核爆発装置の配備・実験等を禁止
域内海洋(公海を含む)への放射性物質の投棄を禁止
平和国敵を含むあらゆる核爆発の禁止、さらには通過&持ち込みをも禁止した
南太平洋地域の非核化を包括的に宣言する画期的なこの条約は
現在、太平洋諸島フォーラム(PIF、SPFが2000年に改称)の16加盟国のうち以下の13カ国に対し効力を持ちます。
・フィジー
・クック諸島
・ツバル
・ニウエ
・サモア
・キリバツ
・ニュージーランド
・オーストラリア
・ナウル
・ソロモン諸島
・パプアニューギニア
・バヌアツ
・トンガ
日本語に翻訳された
興味がある方はご覧ください。
世界の非核兵器地帯を考えた時に
国土の多い大国に目がいっていたけれど、
良く見てみたら太平洋の小さな島国の多くも「非核兵器地帯」に含まれて、その周辺の広大な海洋も同じく
非核兵器地帯に指定されているという事実を知り、嬉しく思いました。
南太平洋地域では、
・フランスがフレンチポリネシアで211回
・アメリカがマーシャル諸島、キリバスで107回
・イギリスがミクロネシアで38回
合計350回以上の核実験が行われたという、信じられないような事実がある。
参照:前田哲男著『棄民の群島』
美しく輝く青い海、
そして椰子の木と白砂のビーチに見守られ暮らす人々。
一見、平和の象徴そのもののような島の人々も、
島によっては、核実験のために無人化したり、後遺症に苦しむ人たちがいることを知りました。
その中でも、私たち日本人にとり一番聞き覚えのあるのは、「「フレンチポリネシアムルロア環礁」だと思います。
1966年から1996年までフランスの核実験場であるこの美しい島は、
約200回の大気圏内(1974年まで)および地下核実験(1975年以降)が行われれました。
1996年1月に再開6回目(通算181回目)の実験がファンガタウファ環礁で行われた後、フランスは実験の終了を宣言。
同年12月にはムルロア環礁の実験施設も閉鎖されたということです。
「ムルロア環礁での核実験の影響は、私たちクック諸島にも確実に届いているさ」
こんがりと全身焼け、がっしりとした体格のポリネシア人のパパがある晩語っていた。
「エアー(空気)も風に乗り流れてくるし、海を泳ぐ魚たちに国境なんて関係なく移動して来るさ。ムルロア環礁はすぐそこだよ」
確かに、フレンチポリネシアはクック諸島のすぐおとなりの国。
そして魚たちは太平洋を横断して成長するマグロのような回遊魚たちに、
’’ムルロア環礁付近は危ないからしばらく通らないでね”なんて、伝えることはできません。
「我々は、フランスへの仕返しのために、ムルロア環礁近辺で魚を採り、
その魚たちをフランスへ輸出して、我々ポリネシア人たちからのプレゼントとして送りつけていたのさ。
それをフランス人たちは美味しい、美味しいって食べるのさ!」
お酒が少し入っていたからかもしれない。
でも、クック諸島の人々も確実に脅威として感じていたムルロア環礁など、南太平洋の海を舞台にした核実験。
非核化を誓った1985年のラロトンガ条約の調印、
そして、先日の海洋保護区マラエモアナの設定。
平和、且つ美しい世界の実現のために小さくも、確実に向かっているクック諸島にこれからも注目していきたいです。