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マルマルアトゥア号 修理のために陸に引き上げました


先週末、

深夜に突然燃え上がったマルマルアトゥア号。

驚きと悲しみの声が島中を巡っています。

火災の原因は現在調査中。

マルマルアトゥア号に近づくと、 火災の後の独特の焼け焦げた臭いが漂っていて

悲しみが更にこみ上げてきます。

燃えた部分は片方の艇体。

双胴船の片方の中がすっぽり全体に焼け、中は真っ黒焦げ。

そして、突き抜けて木製の船のデッキ(甲板)にまで広がってしまいました。

ポリネシアの言葉で刻まれた方角を示すコンパス。

そして、帆船の舵。

まるでカヌーの心臓と思える部分にまで火が回り

マルマルアトゥア号の魂まですっかり傷ついてしまった、悲しい心地です。

海に浮かんでいることでこれ以上被害が進まないように、

そして、一刻も早く修理作業が始めることができるように

満潮時を狙い、

クルーたちが集まりマルマルアトゥアを陸地に引き上げました。

まずは、 帆船を保っていたすべてのロープをクルーたちが丁寧に外していきます。

船の至る所に張られたロープ。

帆船の命ともいえるロープたち。

しっかりと結んであるひもの結びめの一つ一つをいままでありがとう、おつかれさまという気持ちを込めてほどいていきます。

私のような新米では結んだり、解いたりすることは通常はない

帆船を固定する重要な部分で、しっかりと結んであるロープたち。

まさか、こんなことを経験することになるとは、と、

悲しみながらも、心を込めてロープをまとめました。

その次は、帆を支える木の棒、主檣(しゅしょう)など3本の大きな木の棒、マストを下げます。

いつもは下から眺めていただけのマスト。

その長く、しっかりとした棒は、やはり想像以上に重いもの。

人の手だけでは、動かせないので、

隣にクレーン車が来て、外しました。

古代ポリネシアの人々は、きっと村人総出で、

このような作業もみんな手で行ったのかなあ、とその光景が頭に浮かびます。

陸に上がる準備が整った私たちの帆船、マルマルアトゥア号。

クルーたちの祈りが込められた生花と葉のリースが掲げられました。

海上警察船にエスコートされ、

いよいよ、陸に挙げる準備が。

クレーン車の運転手が、何度も移動させる練習をして、

帆船の船体をつるす準備が進みました。

しっかりとした布を2つ、艇体に回して吊り下げて、持ち上げました。

そして、陸に用意してあったトレーラーのタイヤの上にずっしりと、丁寧に置かれました。

まさにクルーたちの心がこもった作業に、

プロのクレーン運転手の力が加わった、素晴らしく見事な一連の作業でした。

一部始終をそばで見ていた私はハラハラしていたけれど、

その心配は全くない、完璧な作業で、

マルマルアトゥアは陸に静かにあがりました。

クレーン車に吊るされ、陸に上げあれる帆船。

そんな船としての役割を全うできない帆船の姿は

私にはとても悲しそうに見えます。

そして、いままで帆船に愛情を注ぎ、

外洋に漕ぎだし、多くの時間と思い出を刻んできたクルーたちの

悲しさも港一杯に漂っていました。

クック諸島航海協会 / Cook Islands Voyaging Societyは

クラウドファンディングをはじめ、クック諸島から帆船の伝統が途絶えないよう

唯一残っている帆船マルマルアトゥアの修復への寄付を募っています。

https://givealittle.co.nz/cause/helpmarumaruatua

多くの人の願いが届き、

再びマルマルアトゥア号が船に浮かび、ポリネシアの海を航海できることを祈ります。

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