先日、世界を巡った、小国クック諸島の国名変更の動きへの試みがある、というニュース。
クック諸島に住んでいる住人の私たちからしたら、実際は、え?そんな世界を駆け巡る大ニュースなの?という感触でした。
職場の仲間、道で立ち話する人々に話題を振ってみても、え?それ何のこと?そんな議論初耳だわ!
という返答も珍しくはありませんでした。
その後、地元の新聞Cook Islands Newsでも数回取り上げられたこともあり、その議論の注目度は上がりました。
「あなたは国名変更に賛成ですか?反対ですか?」
ソーシャルメディアを通して海外在住クック諸島人も含めて、賛否両論、色々と意見交換がされています。
私もとても興味深くその意見を読んでいます。
その中で、「国名変更支持派」「否定派」代表的な考え方を以下にシェアします。
「国名変更反対派」の主張
・より一層重要なことが山積みある。教育、医療、貧困、道路、若者、アルコール依存症、飲酒運転、などを整えるほうが優先
・ようやくCook Islands(クック諸島)という名前がポリネシアの観光地として知られるようになり、世界の人々が私たちの小さな国を知るようになったばかりなのに、今変更するのは今までの努力が無駄になる
・過去に起きたことでは無く、今、これからのことを考えていこう
・私たちの先祖たちが付けた言葉を、現代の私たちが変更することはタブーではないか
・ニュージーランドが、時には自分たちをAotearoaとマオリ語で表現したり、ドイツがGermanyなのに、時にはDeutshlandと名乗るように、クック諸島も自分たちのポリネシア風の名称を付けて自分たちで呼べば良いのではないか。
・自分自身を「Cook Islander」、そして「Kuki」と呼ぶことが好きで誇りに思っている
・気候変動などの対策が急務
・国名を変えたら、国旗、国家を変えたりと、名前を変えるだけの簡単で単純な問題ではない
などなど
「国名変更賛成派」の主張
・今こそ、ポリネシア人、マオリ人としての歴史、伝統文化を示す国名にするべき
・コストがかかるけれど、それよりも自分たちのアイデンティティの方が大切
・関係のない外国人に勝手に命名された国名を継続するのはポリネシア人の誇りが許さない。実際に、我々の先祖たちは1000年以上前に島に移り住んでいたのだし
・国に病気(ウイルス)を持ち込み、搾取をしたりと暗い過去を及ぼしただけである、外国人航海者の名前をつけたままにするのはおかしい
・Cookとは外国人の名前で、我々ポリネシア人を象徴しない名前だから変えるべき
などなど... ....
単純に、Yes, Noで答えることのできない奥深い議論は、クック諸島の老若男女を問わず活発に意見交換が行われています。
合わせて、
自分たちのアイデンティティ、また歴史を遡り、いつ、どの様にして自分たちの島が、
Cook Islands (クック諸島)と名付けられたのか、という解説もメディアで取り上げられ、人々の関心を更に集めています。
日本は「日出ずる国」に由来する、ということを自然のうちに知っている私たちの日本人からしてみたら、
ぇ?そんな自国のこともみんな知らなかったの?学校で習わないの?という感じがしてしまうのですが... ...
太平洋の島々の国々は、歴史の浅い、そして植民地とともにある歴史なので日本とは異なるのでしょう。
実際に、古代ポリネシア人たちの頭の中には、以下の地図の様な世界が広がっていました。
太平洋に散らばる島々。
そこには、国境も境界線も全く引かれておらず、一つの広大なエリアとして理解されていました。
確かにそうですね。
突然、便宜的に、海に線を引き、15の島を囲い、クック諸島と名付けた。
その島々に住んでいるポリネシアじたちにしてみたら、迷惑で理解できないことだったのかもしれませんね。