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2020年を振り返る コロナ感染者ゼロの国 - その3

テレビがない私ののんびり島暮らし。

ネットニュースを読みながらも、”コロナウィルスは遠い海の向こうの話”とは思っていたものも、

ニュージーランドが国境を閉めてから、あらあらと気がついたいたら、

クック諸島の私たちも一気に現実のものとなり、ガラッと変わった。


3月下旬から私の勤める旅行会社もメールに対応する必要最低限なスタッフ以外は自宅待機となった。

私も週に数日通勤し、必要な仕事が終わったら直ぐに帰宅するという生活だった。


学校は2週間の休校となった。


大人も自宅勤務&自宅待機を推奨されるようになり、

大多数の人々が自宅でこもって過ごすこととなり

もともと少ないラロトンガ島のメインロードの交通量はぐっと減った。

私は出勤組に選ばれ、会社にメール対応のため交代で数時間行く必要がったけれど、 時間に余裕があるので、景色を楽しみながら片道1時間半かけて自転車通勤していた。




4月2日

Stay Homeを政府が強調する

10人以上の集いを禁止

敬虔なクック諸島人たちの間で、教会でのミサの集いも禁止されたことが批評されていました。

レストランでのアルコールの販売は9時から16時までのみ

コンタクトスポーツの禁止

島全体に緊張が走り、自宅で家族のバブルで過ごす生活を皆がしていました


4月17日

3月中旬からニュージーランドからの帰国組、そして症状が疑われる人々数百人のPCR検査が終了し

結果が全てネガティブ、陰性であったことを受け、首相が正式にクック諸島はコロナウィルスがない国、Covid-19 free countryの宣言をする。

世界で最も早い国の一つとして、国中にコロナウィルス感染者ゼロを宣言し、

その状態が10ヶ月後の今も続いているのは世界の国々を見渡してみると奇跡のよう。


プナ首相は国民の団結した努力と結果に各島の方言でクック諸島の人々に感謝を表した。


メイタキマアタ(ラロトンガ島) Meitaki maata

メイタキアトゥパカ(アイツタキ島) Meitaki atupaka

メイタキラァヌイヌイ(アチウ、マウケ、ミティアロ島) Meitaki Ranuinui

メイタキンガァオ(マンガイア島) Meitaki Ngao

メイタキコレレカ(マニヒキ島、ラカハンガ島) Meitaki Korereka

アタワイオロ(プカプカ島)Atawai oro


国民に呼びかける会見で、首相が頻繁に口にする言葉は;

We must remain vigilant, remain in state of readiness

しかし、私たちは皆引き続き油断なく行動し、常に準備を整えておく必要がある


全くもってコロナウィルスは私たちの暮らしと心に大きく影響を及ぼした。


振り返ってみると4月上旬が一番ラロトンガ島が緊張していた時期だと思う。

家族&親族、そして村ごとにバブルで隔離生活ほぼ4週間。

ハンドサニタイザーが様々な場所に設置される。

スーパーにて入場制限があり、買い物客同士のコンタクトを避けるために店内にロープが張られ一方通行。

野菜の量り売りがなくなり全て袋入りで売られ、

レジの前の列もしっかりと2m保つようにスタッフが監視する。


Be kind, be informed and be prepared

お互いに優しくし、情報を集め準備をしよう


そんな店内放送を聴きながらまるで戦場に行くかのように、 大きく深呼吸をして緊張した心地でショッピングをする。

会計を終え外に出た時には、思わず大きく深呼吸してフーっと緊張を取り、 隣にいた女性と思わず笑顔で挨拶。

彼女の顔にはうっすら涙が浮かんでいたのをよく覚えている。


「人の動きは止めるけれど、物の動きは止めない。

ニュージーランドからもいつものようにコンテナ船で物資は届く。

だから買いだめの必要はないし、心配はしないように。」

と、首相は主張するものの、数日はスーパーの入り口に数十人の列ができていた。



4月18日土&19日日曜日から教会再開

4月20日、学校が再開

School to open from Mondayとの首相のアナウンス中に娘も思わずやったー、と飛び上がる。

2週間の自宅待機+2週間の学期間休みを早めて4週間の休みとなりました

今までとなく嬉しそうに登校して行きました。

離島への移動も再開

コンタクトスポーツ以外はOK

カフェ、レストランの営業OK、ただしお客同士に十分なスペースを作ること

しかし、アルコール販売はしばらく禁止が続き、


5月8日

3月末に国境が封鎖されてから、 初めてのNZに足止めとなっていたクック諸島人たちのRepatriation flight = 本国送還フライトが到着。

事前にオークランドの政府指定の宿泊ホテルにて、 2週間健康状態チェックをしながらの監視下の隔離を行っていたグループ。

約120人のラロトンガ空港到着時には、親族の出迎えなどは一切禁止で、 ロープが張られた到着ロビーは立ち入り禁止。


政府が用意したバスでエッジウォーターリゾートに送迎され、そのまま2週間の隔離となりました。

家族たちが「WELCOME BACK HOME!」 「WE MISSED YOU!」という横断幕を作り

道路沿いで手を振り迎えていた姿は印象的でした。


島にコロナウィルスを入れないように 慎重に合計4週間の監視下での隔離にてようやく家に帰れる状況となりました。

ちなみにオークランドの隔離設備に入る前に、 30日間ニュージーランドに滞在していなくてはいけないというルールもあったため

クック諸島は自国民にとっても本当に帰ることが難しい遠い国になってしまっていたのが事実です。

翌週にも101人が帰国。

こんなにも帰国できなかったクック諸島人がいたんだ、っとびっくりしたのは私だけだったのでしょうか。

それからしばらく週1便でRepatriation flightがラロトンガに到着しました。


ニュージーランドでの市内感染が落ち着いたことから、

6月19日到着便の便からはラロトンガ島到着時の隔離なしでクック諸島に帰ることが可能とステップアップ。

クック諸島人、滞在&労働許可証保持者限定で、30日間NZに滞在し、 出発前に陰性証明を取ることが条件。

大きな進歩です。

土曜日に賑わっていたマーケットも長く閉まっていた。

野菜などは販売しているけれど、おみやげ屋さんや食べ物屋台のお店がぐっと減った。

わざわざ集まる必要はない、と自宅の庭やメインロード沿いで、

パンや食べ物を売るという方向にシフトする、ある意味での”ニューノーマル”工夫も見られるようになった。

レストランも営業日を減らしたり、メニューをローカル向けにボリューミー&割安に変更、

自宅で販売、テイクアウェイ、デリバリーをするなど、いろいろアイデアを出している。



国境が閉まり、キャンセル処理が続いた4月。

島から観光客が消える、ということはGDP85%が観光業関連収入のクック諸島には甚大な意味もつ。

政府は、早々に国民を救済する経済支援プランなどを発表した。


主に観光業関係業者に務める従業員対して、4月より週260NZDの最低賃金を保証する。

(会社の収入が前年度の同じ時期と比べて基準より減っていることなどが必要)

クック諸島人のみでなく、外国人労働者たちにも分け隔てなくこの補助金は支給された。

We are all in this together

副首相の発表に思わず涙が出てきたのを覚えている。


当初発表された4月から6月末までというこの賃金保証制度。

3ヶ月後にはもちろん終わるであろうとみなが思っていたこの賃金補助金、

なんと7月からは、週320NZDに支給額が増額され継続が決定。

先日2020年年末に、この賃金補助は2021年4月末まで継続することが発表。

クック諸島の約3000人から3500人の観光業従業者、 ローカル、外国人労働者ともに分け隔てなくこの賃金援助を受けて2020年を暮らすことができた。

クック諸島政府にはどんな言葉でも感謝しきれない。



この時期に情報を得ることが国民にとっては必須だとし、 地元の新聞Cook Islands Newsのオンライン新聞の購読が無料になった。

家庭の電気料金が100%ディスカウントとなった。すなわち無料ということ。

電話・インターネット料金も半額割引に。


そして、観光業に従事する多くの人々をこのダウンタイム時期を有効活用して

スキルアップを試みるようにと、職業訓練学校の様々なコースが無料で受講できるように用意された。

レストラン調理、サーバー、ベイキングコース、マッサージスパコース、大工コース、会計、マネジメントコース、などなど様々なコースにエントリーして学んでください!と大きく宣伝していた。


こんなに恵まれた対応をしている国は、世界を見渡してもないのではないだろうか。

観光業で成り立っているクック諸島には、多くのフィジー人、

フィリピン人などの外国人労働者が欠かせない。

ローカルと、外国人労働者を差別することなく、皆一斉にサポートしてくれたことはありがたいけれど、

正直びっくり。

日本の外国人労働者や、タヒチ、サモアなどの近隣諸国の人々は

政府からの支援もなくとても厳しい状態で過ごしているというニュースが聞こえてくる中、

あたたかいクック諸島政府&人々に深く感謝をしながら2020年を終えようとしている。


メイタキマアタクック諸島。

クック諸島ありがとう。



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