クック諸島のドラムのリズムは独特で、癖になる感覚。
メロディーにのり踊る可憐なポリネシアンダンスも、
ひとたびドラムが鳴り響くと、ダンサーたちの踊りも一気に激しくアツくなります。
その複雑なビートは、世界一複雑で難しい、とも言われます。
ハワイのポリネシア村で、
「タヒチ村のドラムが鳴っても人々は動かないのに、
我々クック諸島人がひとたびドラムを鳴らしたら、
人々が集い、ビートが速くなるにつれて輪がどんどん大きくなるんだ」とは、
島の男たちが自慢げに語り継ぐ逸話です。
ウクレレの音色と共に、ラロトンガ島の暮らしに響くドラムの音。
ドラムの大きさにより音色の深さも異なり、重ねて叩くことにより複雑なビートを作り出す。
”あるポリネシア研究者が、クック諸島のドラムを楽譜に落とし込もうとしたけれど、
ビートが難しすぎで、今日まで結局は誰も実現することができていない”
と言う、伝説もあります。
とにかくすごいのです!
前置きが長くなりました。
さて、本題です。
島の子供たちのドラムのスキルを継承し、披露する場を作ろうと
学校対抗ドラム大会が行われました。
すごかったです。
聞いてみてください、言葉で説明する必要はないと思います ↓
これ、小学生部門です。
どの学校代表チームも堂々としたパフォーマンス、圧倒でした。
もうびっくりでした。
大人の教師たちが指導しているとはいえ、一人前の素晴らしいリズム感、バランスは想像以上でした。
ルールは、
1チーム10名以下のドラマー。
最初の部門は、チャントを含んだ演技。チャントは文化省から各学校に指定され、
それに基づくリズム付けとパフォーマンス。
次の部門は、クリエイティブ部門、自分たちで個性を出して
ユニークなパフォーマンスを作り上げる。
実は、クック諸島のドラムやウクレレ演奏では、楽譜は使われていません。
耳で覚え、手で覚え、身体が覚える、と言う昔ながらの方法で練習が行われています。
小学校で本番に向けた練習風景を覗かせてもらいました。
先輩ドラマーが、口と手拍子で、
タッタタラタタタタッタラターと、リズムを言い、それをドラムで叩く。
タッタタラタタタタッタラター... .... ....
最初は、一緒に叩き、覚えるまで練習。
音が揃ってきたら、子供たちだけで叩く。
不安な子供の横には、大人が座り手の合図でリズムを伝える。
うーん、すごかったです。
タッタタラタタタタッタラター
ドラムの音が様々に重なり合い、異なるビートでなり続けるのも、
全て耳と手が覚える。
10分の演技に、一切楽譜などなし。
ドラムのパフォーマンスの度に、
こんな複雑なリズムをどうして、覚え、しかも、ぴったりとチームで息が合うんだろうか、とは
常に不思議に思っていたけれど、小学生の子供たちでも見事な演技としてまとめてきました。
複雑に聞こえるドラムビートも、全学校異なり、このは発表会のために自分たちで考えたもの。
やはりクック諸島の子供たちのDNAには、ドラムのビートが染み込んでいるのでは、とは思ってしまう。
開会式の挨拶で、リタイアした司会者が
「私たちが子供の頃は、このようなドラムのイベントの場合は、男の子しかチームにいませんでした。
でも、見てください。半分とはいかなくても、こんなにたくさんの女の子たちが
ドラム演奏をするようになり私は嬉しく思っています」、と語っていました。
男女問わずに受け継がれるクック諸島のドラムの文化。
大人のドラマーたちは、常に新しい、良いビート&リズムの組み合わせを作り上げている。
パッとひらめいたら、そのリズムを落とし込み、仲間に口ずさみで伝え、
音を重ねてビートを作り上げていく。
そんな原始的な方法にも関わらず、
クック諸島のドラムの文化は今も華やかに、しっかりと引き継がれ、
島には軽快なドラムビートが響き渡っています。
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